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No.4-8 人事評価において心がけたいこと

 春や秋は人事考課の時期、という企業が多いかと思います。人事考課の仕組みは会社によってまちまちですが、一般的には年に2回ほどの実施というケースが多いでしょう。年に2回だけの仕事、ということは、なかなか慣れない仕事であるとも言えます。私自身も前職において、長年人事考課をする立場にありましたが、毎回、人事考課基準を読み直す必要に迫られていました。また、人を評価するというのは、機械的に行えることではありませんから、評価するにおいて随分と迷うことがありました。
 近年では改正地方公務員法が施行され、地方自治体にも人事評価の導入が義務づけされました。私自身も、これまで多くの市町村から人事評価研修の講師として招いていただきましたが、地方公務員の管理職は、部下の評価に悩んでいらっしゃる方が少なくない印象があります。
 民間企業に勤めているのか、公務員であるのかに関わらず、評価者としての心がまえをいくつか。

  • 部下を育てる意識を持ち、厳しい態度をためらわない
     
    評価を行うこと自体が目的ではありません。部下の能力、姿勢(行動)における不足点を明らかにすることで、効果的に育成を行ったり、当該者の業務を改善したりすること、そして、結果的に業績を向上させることが本来の目的です。
  • 推測や噂などではなく、事実に基づいて評価すること
     そのためにも、日頃から部下をよく観察して行動を記録しておくこと(ひとりの部下につき、半年間で10個くらいのメモがほしいところです)→記録を残せなかった方は、今後は記録の習慣をつけて、次回の評価に活用できる用にしてください!もちろん、部下の不適切な行動、不足する能力についてはその都度の指導・助言を忘れてはなりません。
  • 把握しきれなかった部分については推測ではなく、中立的な評価をつける
     思い切って割り切ることも必要です。
  • 評価要素に関連しない職務外の行動は評価の対象外とする
     それがいかに優れたこと、あるいは、不適切なことであってもです。(ただし、人事評価要素として自己啓発への取組度合いが明記されている、などといった場合は別です。)
  • 自分と較べないこと
     仕事ができる人ほど、他者の能力・姿勢には不足を感じてしまうでしょうし、反対に自分が苦手な部分については他者が優れて見えるものです。

  • 時間的に余裕のある中で行うこと
     
    忙しいときにやっつけ仕事としてしまうと、不適切な評価となるかもしれませんし、人事面談で本人に結果を伝えるときにも適切な伝達ができなくなってしまいます。

  • 時間をかければ良いというものでもない
     
    ていねいに素早く、ということも実は重要です。

  • 一度つけた評価はできるだけ訂正しない
     「b評価としたけれど、いや、やっぱりc評価かな」、などと迷うことは良くありますが、大抵は先につけた評価の方が妥当であることが多いようです。

 評価の対象となる部下の数が多い管理職の方にとっては大変な仕事かもしれませんが、面倒な仕事とは思わず、むしろ、それが管理職の本来的な仕事なのだという意識で取り組んでいただきたいと思います。(初回掲載 2016/10/10)

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