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No.3-2 改善問題への取り組み

 No.3-1「問題とは何か」でも書きましたように、管理職が主として取り組む問題の種類は、現実的には「探索型問題」ということが多いと思います。さらに、「改善問題」か「強化問題」のどちらかと言えば、「改善問題」に取り組むケースが多いのではないでしょうか。なぜなら、なかなかうまく行かないことをうまく行くようにするための取り組みが仕事上においては多いと考えられるからです。私たちは、常に目標達成のために仕事をしているわけですが、目標というのは、通常、組織の現有能力よりも高いレベルに設定されているはずです。つまり、目標と現状に差異があるのが当たり前であり、この差異を埋めるための活動を常に人々は行っているのです。目標はそう簡単に達成できるものではなく、実際にはうまく行かないことの方が多いことでしょう。ですから、仕事というのは問題解決(=改善)の連続であると言えます。
 
 ところで、改善問題に取り組む際に有効な問題解決技法の一つとして、「特性要因図」があります。有名な技法ですから、ご存じの方が多いと思いますが(最近は段々知っている人が少なくなってきました)、簡単に言えば、問題の原因、そしてさらに原因の原因をつきとめていくことによって問題の構造を明らかにし、取り組むべき課題を明らかにしつつそれらの優先順位を決めていこうというものです。完成図が魚の骨に似ているため、フィシュボーンチャートとも言います。「特性」とは「結果」のことであり、「要因」は「原因」と理解すればよいでしょう。

 例えば、社員の時間外勤務が恒常的に多く、なかなか減らすことが出来ないといった問題を分析する場合の例を考えてみましょう。魚の頭の部分(=結果)には、「時間外勤務が減らない」と記入します。その原因として「一人当たり業務量が増加傾向にある」、「社員の業務処理能力が低い」、「職場のマネジメントが弱い」、などといったことが原因として考えられるとすれば、これらが大骨(=原因)として表現されます。そして、一人当たり業務量が増加傾向にあるのはなぜかと言うことを分析すると、「人員が不足している」、「顧客の要求事項が増加している」、「作成書類が増えている」などといったことがその原因として考えられますので、これらが中骨(=原因の原因)になります。さらに、人員が不足している原因を考えてみると、「採用が抑制されている」、「新規事業に人手が割かれている」、などといったことが小骨(原因の原因のさらに原因)として表現されることになります。

 このように、原因の原因を深掘りして行くことによって問題の構造を明らかにし、結果に大きく影響していると考えられる原因を特定するわけです。もちろん、すべての原因について手を打つことは現実的ではありません。時間的制約や人的制約、コスト的制約などがあるためですが、そもそも、すべての原因が等しく結果に影響を与えているわけではないはずです。したがって、優先的に取り組むべき課題をいくつかピックアップしてそれを解決する具体的な方法を考えていくことになります。

 原理的にはロジック・ツリーとほぼ同じと言っていいと思います。実際に書いてみると、ロジック・ツリーは末広がりになってしまうため、原因を掘り下げるほど、レイアウトがしづらく、その点では特性要因図の方が扱いやすいと感じています。

(初回掲載2010/11/09 加筆修正2022/05/02)

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