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No.4-2 OJTにおける時間的障壁に対処する

時間は「できる」ものではなく、「つくる」、「捉える」もの

 OJTを有効なものとするためには、組織としての制度ないし、仕組み作りも重要です。ですが、ここでは、まず、管理職個人の立場として手を打てることに限定して考えることにします。

 管理職個人に起因する、OJTが上手くいかない理由として、これまでの研修受講者とのやりとりや、私個人の管理職経験から考えられることは、第一に、教育指導になかなか時間が取れないと言うことがあります。第二に、仕事の分担をする際に、部下育成よりも仕事の質やスピードを優先してしまうことが挙げられます。これら二つの要因は「部下育成の実態調査」<部下育成がうまく行っていない管理職は指導するための時間とノウハウがない>でも明らかになりました。管理職側に、そもそも部下を育てるという役割意識がないかというと、決してそうではなく、部下育成の必要性については理解している人が多いように思われます。

 第一の「時間」に関して言えば、上司は一般的にプレイングマネジャーである場合が多く、もちろん、部下もプレイヤーですから、お互い実務に追われて時間が取れないということが考えられます。ですが、時間は待っていて「出来る」ものではなく、意識して「つくり出す」必要があります。概ね一週間単位で、翌週の何曜日の何時頃というように、あらかじめ、前週の内に計画しておくことが必要になります。

 また、時間を「捉える」という考え方も必要だと思います。会議やちょっとしたミーティングの時間を利用する、部下と顧客へ同行訪問するなど外出する際の時間を利用する、などと言ったことが考えられます。あるいは、部下が残業していて自分も残業しているような場面では、黙々と無言で仕事をするのではなく、職務の進捗状況などについて話しかけてみるのも良いでしょう。もしかすると、「実はうまく行ってなくて、ちょっと困ってます」というような答えが返ってくるかもしれません。このようなやりとりは当然アドバイスに結びつけることになるでしょう。そもそも、残業が多い部下の場合であれば何が原因で残業が増えているのか、その原因について話し合ってみることで業務改善を促すことにもつながるかもしれません。(初回掲載 2009/08/03 補筆2023/03/31)

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