「コンサルティング」にエンゲージメント向上支援プログラムを掲載しました

No.3-3 問題解決において分析手法を用いることの有効性

 研修の中で、特性要因図などを使って問題構造分析を行ってもらいますと、論理的な問題分析を行うことは、多くの人にとって意外と難しいことのようです。とは言え、それは必ずしも当人の論理的思考力の弱さに基づいているのではないというように私は感じます。問題分析を妨げているのは、先入観や固定観念、あるいは、長年同じ仕事をしていることによって、問題構造を近視眼的に捉えてしまうことにあるのではないでしょうか。

 例えば、「一人当たり業務量が増加している」という問題については、多くの人がその原因を「人件費節減のために採用が抑制されているからだ」と決めつけてしまいます。実際には、業務のすすめ方に大きな非効率があっても、それに気づかない、もしくは、手をつけたくないと考える人は少なくないように思います。(こうしたことはコンサルティングをやっているとよくあります。)確かに採用の抑制は、単位業務量増加の原因の多くを占めていると思われますが、実際には他にも原因があるはずです。「採用を増やす」という解決策を提示すること自体は簡単なことですが、現実的には人手不足や人件費の増加など、多くの困難を勘案しなければならない選択肢です。むしろ、(人事部門以外の)管理職としては、メンバーの実務処理能力の不足や相互支援体制の欠如など、単位業務量が増加している他の原因を見つけて、そこに手を打っていくことが必要です。そうした取り組みが組織力の向上に結びつくわけです。しかし、特性要因図やロジック・ツリーなど、頭の中だけで展開できるかというとなかなかそれは難しい事だと思います。また、業務上の問題というのは自分が頭の中だけで理解していればいいわけではなく、他のメンバーと共有する必要があります。そのためには問題構造を視覚化する必要があります。

 問題解決のための原因分析を行う際には、固定観念や近視眼的発想にとらわれるなくなく客観的に事象を捉えることが重要であり、そのためにも特性要因図やロジック・ツリーなどの手法を使うことに有効性が認められるのです。(初回掲載 2011/04/17 補筆2023/03/28)

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