まずは、管理職の基本的な役割を整理しましょう。
「マネジメント・サイクル」といった言葉は多くの方が耳にしたことがあろうかと思います。Plan-Do-See、あるいは、Plan-Do-Check-Actionというものです。前者は、「計画」→「実行」→「評価」というプロセスですが、後者は「評価」について、「点検(統制)」と「改善」として明確に区分しています。要は、仕事は計画を立てて、計画に沿って実行し、うまくいっているのか点検し、よりよい仕事の仕方を考え出して次回の仕事に反映させていくべきである、という考え方に基づいた管理プロセスです。
実は、このマネジメント・サイクル、もう少し細かく分類すると、ともすれば見えにくい管理職の仕事がとても見えやすくなってきます。
まず、「計画」は、「計画」と「割当て」に分類できます。そして「実行」には「育成」と「動機づけ」の要素が含まれていると解釈できます(「実行」がこの二つに分類される、と言う意味ではありません)。もちろん、計画の段階で育成や動機づけの要素が必要となる場面は想定できることですし、あるいは、評価統制の段階でこれら二つの要素に配慮しなければならないこともあるでしょうが、ここでは、育成や動機づけが最も意識的に行われるべき段階は、主として仕事の実行段階であると仮定することにします。さらに、「統制」、「改善」の要素が続く形で表現すると、これはもう、管理職の仕事そのものなのだと言うことが理解できると思います。「業務の管理」とは何かというと、このマネジメント・サイクルの中にある「計画」、「割当て」、「統制」に関わる活動のことです。
管理職に求められる基本的な役割は、業務遂行を管理すること、業務上の問題を解決すること(改善)、部下を育成すること、部下のやる気を引き出すこと(動機づけ)の4点が主たるものですから、マネジメント・サイクルにはこれらの要素がすべて含まれていて、それらがどのように関連し合っているかが理解できると思います。(初回掲載 2009/09/05)