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No.6-6 実行段階のコミュニケーション ~部下のやる気の低下に対処する

 仕事をしていく上においては、時としてやる気を失うことがあり、これは多くの人が経験していることだと思います。やる気を失う原因としては、仕事の意義を感じられないとか、目標水準が自己能力のレベルを大きく超えている、裁量がほとんど与えられないことによる自己決定感の欠如、職場の人間関係の悪化などというように様々な事が考えられます。上司のマネジメント行動如何では、それらの内のいくつかは解決可能でしょう。しかし、そうした要因の全てを完全に取り除くことは現実には不可能であり、仕事というものは一定程度の忍耐が必要なものです。そして多くの人はそのことを理解しているはずです。とはいえ、やはり人間は感情の生き物ですから不安に駆られたり不満を持ったりすることはよくあります。

 上司としては、部下のそのような不安や不満に耳を傾ける姿勢が必要です。完全な解決は不可能であるからといって聞く耳を持とうとしないのでは、部下のやる気は低下する一方です。そもそも、他者から不平不満を聞かされることは聞く立場としても面白いものではありません。しかし、部下が相談してきたときにイヤな顔をしていれば部下はあまり相談してくれなくなるかもしれません。部下の不平不満は潜在化させてはいけません。顕在化させることが必要です。潜在化させてしまうとあるとき突然爆発する、急に退職してしまう、などと言ったことが起こり得ます。

 実は、不安や不満というのは聴いてあげるだけでもある程度は解消されるものです。不安や不満を言葉にすることによって精神上の安定が得られることを精神分析の用語では「カタルシス効果」と呼んでおり、これは「心の浄化作用」とも言われます。また、不安や不満というものは、中には本人の単なるわがままに起因していたり、道理に合わないような思考の結果であったりすることも時には見受けられます。不安や不満を言語化することによって当人は自分の思考や感情を客観視できるようになりますから、みずから考え方を修正することに役立つということもあります。
 では、どのような姿勢で部下の不安や不満を聴いてあげるべきなのか、「アクティブ・リスニング」の手法が有効です。

(初回掲載 2012/12/01 補筆2023/04/12)

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