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No.2-5 業務割当において留意すべき事 ~相互支援の体制をつくる

 近年「個業化」という言葉が聞かれるようになりました。分業化された職務を一人でこなしている状態のことです。事業規模が大きくなるほど、職務の細分化が進みます。また、定型的業務のアウトソーシングも一般的なものとなり、社内業務は従来以上に専門性の高いものになってきています。各職務の専門性が高まれば、専門外のメンバーが関わりづらくなるため、さらに個業化が進んでいきます。そして、最近ではテレワークがこれに追い打ちをかけています。
 個業化とは、特定の役割を特定のメンバーに固定化させていくものです。組織には「専門化の原則」という考え方があり、一定程度の専門化は組織能率の向上のために必要なことです。しかし、それぞれの職務においては、負荷のかかり方が異なることが一般的です。ある業務は魅力的であるが、別な業務はストレスが大きい、といった心理的な負荷が、また、ある業務では時間的な負荷が大きい、などといったことです。これは、特定のメンバーにメンタルやモチベーションの面におけるマイナスの影響が偏ることを意味します。また、時間的な負荷が大きい職務では、納期遅れや品質の低下といった問題が起こり得ます。反対に、時間的負荷の小さな職務では、やらなくても良いけれど、やったほうが良い、余計な仕事を作り出すかもしれません。これは、組織能率の悪化につながります。そのほかにも心理的な孤立が起きる、OJTが機能しづらくなるなど、行き過ぎた専門化は、様々な弊害をもたらします。したがって、職務割当においては、一人がひとつの業務というように役割を完全に個人に固定させるのではなく、三人で三つの職務に取り組むようにしたり、あるいは、各業務に主担当と副担当を置いたりするなど、相互に支援し合う体制を整えることが望ましいと言えます。もっとも、そのためには前提があります。それは、「多能工化」が必要となることです。
 サッカーの試合では、ポゼッション志向(ボール支配率を高くする戦術)よりも、守備を固めて少ないチャンスをものにするカウンター型の有効性が高い場合が多く見られます。カウンター志向の戦術では、守備を後方の選手に固定させることなく、フォワードを含めてほぼ全員が守備を行うことになります。近年のサッカーでは、フォワードの選手でもディフェンスの役割が求められます。(初回掲載 2019/07/22)

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