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No.2-9 「統制」はしくみを利用する 

 No.2-7 「統制 ~アウトプットによる統制とインプットによる統制」でも触れましたが、プロセス上においてのインプットによる統制は、必要な修正行動を現在の仕事に反映させられます。したがいまして、業績向上の観点からは、結果であるアウトプットによる統制よりもインプットによる統制の有効性が高いと言えます。とは言え、これを管理職の心がまえとして日常的に実行しようとすると部下から疎まれることになりかねません。部下の顔を見る度に「例の件、どうなってる?」、「今現在の進捗は?」などと問いかける場面が増えてきますと、部下としてはいかにも監督されている感覚が強まり、気持ちの良いものではないでしょう。

 組織統治の方法には人治と法治の2つがあります。人治は文字通り人が直接マネジメントを行うことです。これに対して法治は、制度やしくみを活用してマネジメントを行うことです。例えば、上司が部下に仕事の進め方を直接指導するOJTは人治であり、社内研修という制度によって能力開発を促進することは法治と言うことになります。マネジメント・サイクルの中でも最も曖昧になりがちなのはおそらく統制であろうと思われます。人治を中心にマネジメントしようとすると、計画や実行に時間をとられているがあまり、統制に時間的、労力的リソースを振り向ける余裕がなくなるためです。よって、統制においては法治を中心に考えて、しくみをうまく活用する、もしくは、しくみが不足しているのであればそれを作ることを考えてみるべきです。

 統制では、例えばミーティングの場を活用することが考えられます。毎週月曜日の朝、15分程度のミーティングを行い、先週投入したインプットについてお互いにチェックし、必要な修正行動を今週の計画に反映させる、などと言ったやり方です。人材開発部門以外に所属する一管理職が社員研修制度を作ること(法治)は難しいでしょうが、自部門でのミーティングを毎週行うこと(人治)は十分にできるはずです。

 しくみとしては、ミーティング以外にも、グループウエアを導入しているのであればそれを活用することも可能でしょうし、表計算ソフトの活用が統制に向いている仕事は多いように思われます。多人数が関わり、かつ、タスク間に連続性があるプロジェクトであればガントチャートがお薦めです。また、類似性の高い案件が多数発生し、かつ、タスク間に連続性がない仕事であれば、付箋などを利用したタスクボードでチェックする方法もあります。

 自部門の職務に適したしくみを導入できればマネジメントの精度を大幅に高められるかもしれませんし、部下に管理強化の印象を持たせることもなくなることでしょう。

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