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No.3-8 素人の視点で考える

 他部署からの異動により新たに配属された部下は、業務改善を考える必要はなく、まずはその部署の仕事のやり方を覚えることに専念させるべきでしょうか。

 実は、初めてその仕事を担当する人こそ、その仕事を客観的に見ることができます。その第三者の視点が大きな改善もたらしてくれるかもしれません。むしろ、その仕事に長く従事してきた人ほど固定観念にとらわれていて改善点は見えにくいのではないでしょうか。

 あなたの組織の顧客や利用者においてはヘビーユーザーもいるでしょうが、それは全体からすれば一部であって、利用客の多くはライトユーザーであるというケースが多いと思います。特に、その製品・サービスを初めて購入する利用者は、ほぼ素人です。プロは長年その仕事を担当していますから、当然、製品・サービスを知り尽くしていることでしょう。結果的にプロは素人が何がわからないのかがわからなくなってくるものです。例えば、皆さんの会社のホームページ、チラシ、リーフレット、カタログ、パンフレット、申込書、使用説明書など、本当に素人にとってわかりやすい表現になっているでしょうか。個人的な感覚ですが、意外とわかりづらい表現になっているケースは多いように思います。説明の表現がわかりにくければ、利用者は購入を諦めるかもしれません。したがって、素人の視点に基づいて表現することが重要なのであり、新たに配属された部下の視点を積極的に活かすべきです。

 とは言えども、異動者が新たに配属された部門でやたらと問題点を指摘しようものならば、周囲からの反発が起きるかもしれませんので、そのことを忖度して、”郷に入れば郷に従え”という人が多いのが実態でしょう。配属先の仕事の進め方に疑問を感じつつも口には出さないわけです。ですから、むしろ、上司の方から問いかけてみることをお薦めします。「あなたの目から見て、ここがおかしいとか、ここはこう変えた方がいいのでは、と感じることがあったら教えてくれないか」という具合にです。異動したばかりの頃は、多くの人は受け身になっていることが多いものです。上司からそのように声をかけられることで、一気に主体性が高まる副次的な効果も期待できます。おそらく、心理的安全性を高めることにもなるでしょう。そして、これらの効果は、相手が新入社員であっても、ある程度同様のことが言えるように思います。

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