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No.6-8 部下を導く深掘り質問法と展開質問法

 部下の仕事が停滞しているように見えたとき、上司はどのように声をかけるべきでしょうか。管理職であれば、上司として当該業務に関して認識している問題点を指摘し、明確な方向性を示して効果的な遂行方法を改めて助言したくなるところでしょうが・・・。しかし、ここは上司としての認識から話を始めてはいけません。その理由として次のようなことがあげられます。

  • 上司からの助言が部下の考える解決策に常に優っているとは限らず、当該業務を担当している当事者が考える対処策の方が適切であるかもしれない。結果的に望ましくない方向へ誘導してしまう可能性がある。
  • 上司からの助言は、ともすると「指示・命令」として捉えられてしまい、自己決定感が失われてしまう可能性がある。
  • 停滞からの打開を常に上司からの助言によって解決するとなれば、自ら考える習慣が失われるかもしれない。
  • 停滞しているように見えて、実は部下自身がすでに有効性の高い解決策を考えていることもある。

 したがいまして、こうした場面では、まずは現状確認の質問から入っていくことが望ましいことが多いように思います。停滞している、と決めつけてしまうのではなく、その業務が現在、どんな状況にあるのかを質問してみると良いでしょう。停滞しているように見えても、部下としては上司よりも二手先、三手先を読んでいることもありますので、いきなり否定的な表現をすることは避けるべきです。また、部下自身の問題意識のレベルを確認できる副次的な効果もあります。

 もし、その仕事が実際に停滞していて、部下自身も解決策を考えあぐねているようであれば、なぜ、現状うまく行っていないのか質問してみましょう。そして、さらにその原因について、なぜ、そのような状況になるのかを質問してみる、つまり、深掘り質問を行うことが有効です。なぜ(Why)を深めていくことで対処策(How)が見えてくることがあるからです。その対処策についても、上司からの指示や助言より、部下自身が自ら答えを出せるように質問で導いていくことがポイントです。

 ある問題について対処策が見つかったら、今度は質問をヨコに展開していきます。この場合、上司として認識している問題や課題についてたずねてみるのも良いでしょう。そして同様にその問題について深掘りして解決策を探っていきます。これを何度か繰り返せば、部下の自己決定感を維持しつつ、ある程度の対処策を揃えることを期待できます。

 ”人は、自分自身が発見した事柄に最もよく納得する” と言うのはBenjamin Franklinの言葉ですが、上司はその手助けができるようになりたいものです。

深掘り質問法と展開質問法
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