No.2-2では、仕事の質を高めるという観点から割当を検討しましたが、こうした視点のみにおいて割当を考えることには問題があります。なぜなら、その仕事が要求する能力を十分に身につけているメンバーのみが常に当該業務を担当することになり、その能力を持っていない人は少なくとも当面の間、その仕事を覚える機会が与えられなくなってしまうからです。優秀なメンバーとそうでないメンバーの差がはっきりしているような組織というのは、こうした割当に原因があるのかもしれません。要求されている能力が明らかに低いのでない限り、多少の能力不足があってもその仕事をやらせてみることでメンバーの能力を向上させることが可能になるわけです。ですから、割当においては成長の視点も合わせて考えたいところです。
また、このことは次のように言い換えることもできます。部下に仕事を割り当てる時には、その部下の能力を少し上回る目標設定をすることが望ましい、と言うことです。当然期待されるであろうアウトプットに、その部下にとって未経験の、プラスアルファの成果を求めてみることです。うまくその目標をクリアできたとすれば、部下にとっても成長感を味わえるはずです。(初回掲載 2011/05/09)