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No.1-7 中小企業における組織成長と権限委譲

 中小企業の経営という観点からも権限委譲について考えたいと思います。
 最近、講師を担当した中小企業の管理職向けセミナーの中で、参加者の多くに気になる共通点がありました。それは、トップに権限が集中していて、中間管理職の役割が、実態としてプレイヤーとしての働きに限定されてしまっていることです。そして、そのことが職務上の不満足要因となっている点も共通していました。これらの企業は、従業員数が数十名から100名強の組織規模であり、組織的な未熟さ故に成長の機会をうまく捉えられていないという認識が強いようでした。(もっとも、こうした企業特性でありながら、管理職セミナーに派遣すると言うことは、トップが、権限委譲できていない現状に対する問題意識があることの証左かもしれません。)
 売上を伸ばしたり、業容を拡大したりする過程においては、通常は組織規模の拡大を伴います。反対に言えば、人材確保や人材育成などの組織投資がなければ業容の拡大には限界があると言うことでもあります。組織が一定の規模に達し、仕事の範囲や業務量が拡大してくると、トップのみによって仕事をコントロールすることが難しくなります。業務量が増大することにより各社員の職務遂行に対して目が届きにくくなりますし、業務範囲の拡大に伴って求められる専門的知見の幅も拡大していくためです。このため、経営者は特定の人たちにある程度の権限を委譲してマネジメントを委託することになります。管理職とは、経営者に変わって各部門のマネジメントを委託された人達のことです。
 創業間もない頃は、技術力や製品・サービスの目新しさなどによって一定の市場を確保できるかも知れませんが、さらなる成長のためには各部門をコントロールできる人材を確保・育成することが必要になります。権限を委譲し、なおかつ、委譲された側がそれを行使しうるだけのマネジメント能力を高めて行かなければ、組織の成長は限界を迎えることになってしまいます。集権的経営から分権的経営に移行できるかどうかが、企業としての成長のカギのひとつであるといえるでしょう。トップの目の届く範囲でしか仕事をしていないというのでは会社は成長しません。(初回掲載 2014/03/24)

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