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No.1-2 感情は無視できない ~組織における3つの論理

 売上を上げる、利益を上げる、無駄を省くなど、組織としての効率を高めるためには、「能率」を上げ、「コスト」を低減させるといった発想が必要であることは誰でもが思い至ることでしょう。「能率」とは、簡単に言えば短時間にたくさんの仕事を、それも一定以上の質を維持しながらこなすと言うことです。かといって、「コスト」を無視すれば利益を確保できないことは説明するまでもありません。しかし、「能率の論理」と「コストの論理」さえおさえておけば組織効率が高まるのかというと決してそうとは言えません。実はもう一つ、「情感の論理」というものがあります。組織におけるメンバーの態度は、共通の情感を中心に形成されるインフォーマル組織(*)の影響を強く受けています。それは、暗黙の価値観や組織特有の規律による影響です。いわゆる職場風土というものですね。例えば、チャレンジングな態度が仲間内で評価されるような組織では、メンバーは他者からの評価が気になりますので、努力の程度を引き上げるでしょう。一方、ほどほどの働きを良しとして、むしろ、がんばりすぎると打たれる杭になってしまうような職場では、メンバーは、仲間に嫌われたくないなどの感情的な理由によって努力程度を引き下げるかもしれません。そのような組織では、最大限のアウトプットが導かれることはありません。つまり、いくら能率的かつ低コストの仕組みを導入しても、人間の態度一つで組織効率は大きく変わってしまうわけです。
 「能率」と「コスト」の追求だけで有効な組織マネジメントを行うことはできません。「情感」は無視できないのです。経営者は合理的な思考をすることが多いものですが、従業員側の思考は感情に基づいていることが多いということを踏まえておく必要があります。

*インフォーマル組織・・・非公式組織。職務遂行の観点から設計された公式組織に対して、職場において自然発生的に形成される仲間グループや派閥、あるいは、実質的な影響関係のこと。(初回掲載 2009/06/21)

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